去年の夏、姪っ子が生まれた。
バカで間抜けで少し変わり者で、ついこの前まで制服を着ていた、あの妹が、母親になった。
名を、なずは、と言うらしい。
初めて触るなずはは、プニプニ柔らかくて、腕なんてちょっと力を入れたら折れてしまいそうだった。正月に会ったなずはは少し大きくなり、笑うようにもなった。何に笑うのかは不明。壁を見ても笑うので少し怖い。
1日の半分は寝て過ごし、残りの半分は手足をジタバタさせたり、ぎゃあぎゃあ泣いたりして過ごす。乳もよく吸う。
私達よりも数十年程長生きする予定の彼女は、私達が見ることのできないずっと先の世界を見るのだ。
何も知らないアタマで生まれ、すくすくと大きくなると、「後は任せて」と私達のいない未来を生きる。きっと、世界情勢を揺らがすような事件に翻弄され、とんでもない法律に反対し、自動運転の車に昼寝しながら乗るのだろう。
さながら小さな未来人である。
彼女は、これからどんな子になるのだろうか。ぽかんと空いた口と寝すぎて禿げた後頭部。この子が無限の可能性を秘めていることは言うまでもない。